JR武豊線半田駅の駅舎とホームをつなぐ1910年(明治43年)製の跨線橋は、高架化事業により110年の役目を終えます。
愛知県主体で、半田市とJR東海の協力によるJR武豊線半田駅付近の連続立体交差事業が2017年から行われています。2021年6月6日(日)始発列車から半田駅が仮駅舎に切り替わり、駅北側に設けられた新跨線橋の使用が開始します。これに伴い、現在の駅舎と跨線橋は6月5日(土)最終列車をもって使用終了となります。
上半分を白、下半分を濃い赤に塗られたツートンカラーが特徴的な半田駅の跨線橋は、建造時と同じ場所にある現役のJRの跨線橋としては全国で最古と言われています。橋の支柱には「明四十三 鐵道新橋」の文字が刻まれているのが確認できます。橋の隣りにあるレンガ造りの倉庫は、かつて夜間信号機の火に使う灯油を保管する油倉庫として使用されていました。半田駅北側には、武豊線を最後に走った蒸気機関車「C11型265号機」が展示されており、1886年(明治19年)に東海地方初の鉄道として開通した武豊線の歴史を今に伝えています。
半田市は、跨線橋を含むこれらの鉄道遺産について保存・活用の意向を示しており、市民の声を聞きながら方法を検討するとしています。
今後は高架本体の工事が着手され、完成すると半田駅はホーム1面・線路2線の高架駅となります。また、約2.6kmの区間が高架化され9箇所の踏切が除去されるほか、駅前エリアでは土地区画整理事業により駅前広場などの整備が一体的に行われます。事業の完成は2027年度を予定しており、半田駅とその周辺は大きく姿を変えることになります。